認知症対応で疲れたときに読む記事

介護の現場で最も心身に負担がかかる業務のひとつが「認知症ケア」です。

記憶障害・見当識障害・感情の起伏…日常的に対応する介護士は、心身ともに疲れ果ててしまうことがあります。

  • 同じ質問を何度もされてイライラしてしまった
  • 突然の怒りや拒否で心が折れそうになった
  • 夜間の徘徊や不眠対応で眠れず疲労困憊

そんなとき、「自分だけが辛いわけじゃない」と知ること、そして「対応を工夫すれば軽くなる」と気づくことが大切です。

この記事では、認知症対応で疲れたときに役立つ考え方と工夫をまとめます。

麦マネ(Twitter)

介護業界で22年目、41歳。ONE PIECEを愛する。
〈 資格 〉
・主任ケアマネ
・社会福祉士
・介護福祉士

介護の仕事と資格について情報発信。

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認知症ケアで大変な場面

1. 同じことを繰り返し聞かれる

  • 「今日は何日?」「ご飯はまだ?」と何度も聞かれる
  • 答えても数分後にまた同じ質問

👉 対応の工夫:時計やカレンダーを見える位置に置く。ホワイトボードで予定を示す。

2. 怒りや拒否が強い

  • 入浴拒否や食事拒否で介助が進まない
  • 感情が爆発して大声を出される

👉 対応の工夫:正面から説得せず、気分が落ち着くタイミングを待つ。好きな話題を振る。

3. 徘徊や夜間不眠

  • 施設や家の中を歩き回り、転倒リスクも高まる
  • 職員は一晩中見守り、疲労が蓄積

👉 対応の工夫:環境調整(照明・足元マット)、安全な徘徊ルートを確保。

4. 家族対応

  • 「もっとちゃんと見てほしい」と言われる
  • 家族の理解不足から職員が板挟みに

👉 対応の工夫:ケア内容を具体的に説明。記録や写真を共有して理解を得る。

イライラしないための工夫

1. 完璧を目指さない

「すべてを自分がやらなければ」と思うと潰れてしまいます。

7割できれば十分と考え、心の余裕を持ちましょう。

2. 距離を取る勇気

強い拒否や怒りに直面したら、一度深呼吸して離れることも必要です。

「今は難しい」と割り切ることで、無用な衝突を避けられます。

3. チームで共有する

  • 「昨日も同じ質問が続いた」
  • 「入浴拒否が強かった」

記録を残してチームで情報共有すると、職員全体での対応が統一され、精神的負担も減ります。

4. 自分の感情に気づく

イライラは「疲れているサイン」です。

  • 一旦水を飲む
  • 深呼吸する
  • 数分間、席を外す

小さな切り替えが介護の継続につながります。

周囲に相談する方法

1. 同僚・上司に相談

  • 「こういう場面で困っている」と具体的に伝える
  • 先輩介護士から実践的なアドバイスをもらえる

2. 家族と話す

  • 家族が介護に理解を示せば、職員の負担は軽減
  • 定期的な面談や情報共有が重要

3. 専門機関に相談

  • 地域包括支援センター
  • 認知症疾患医療センター
  • 行政の相談窓口

第三者機関に相談することで、現場だけでは解決できない課題が整理されます。

4. 転職も選択肢

「相談しても改善されない」「人手不足で限界」という職場なら、環境を変えることが最善です。

認知症ケアを楽にする考え方

1. 「戦わない」姿勢

  • 無理に説得しない
  • 認知症の症状を「本人のせい」と捉えない
  • 「症状」と切り離して受け止める

2. 小さな成功を喜ぶ

  • 入浴できた
  • 食事を一口食べた
  • 少し笑顔が見られた

👉 これを「達成」と捉えると心が楽になります。

3. 自分のケアを優先する

  • 十分な睡眠
  • 趣味や運動でリフレッシュ
  • 同僚と愚痴を共有する

介護職が倒れてしまえば、誰も支えられません。

4. 環境を変える勇気

どうしても改善できない場合、認知症ケアに理解がある職場に転職するのもひとつの道です。

まとめ

認知症対応は、介護の中でも最も大変な仕事のひとつです。

しかし、工夫や考え方を変えることで「疲れを減らし、前向きに取り組めるケア」へとつながります。

  • 大変な場面を理解し、対応を工夫する
  • イライラしない工夫を持つ
  • 周囲や専門機関に相談する
  • 環境を変える選択肢も忘れない

あなたの心が少し軽くなることが、より良いケアの第一歩です。

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