派遣介護士のメリット・デメリット

介護職と聞くと「正社員」「パート」といった働き方をイメージする人が多いですが、ここ数年で注目を集めているのが「派遣介護士」という働き方です。

「派遣=不安定」というイメージを持つ人も少なくありませんが、実際に派遣で働いてみると、自由度が高く、自分のライフスタイルに合わせやすいという利点があります。

私自身、正社員から派遣に切り替えて働いた経験があります。

そのときに実感したのは、「収入の変化」「人間関係の軽さ」「契約更新の不安定さ」でした。

つまり派遣は、光と影がはっきりしている働き方だと言えるのです。

この記事では、派遣介護士とは何か、メリット・デメリット、正社員との違い、派遣から正社員になる流れまでを、実体験も交えながら詳しく解説します。

麦マネ(Twitter)

介護業界で22年目、41歳。ONE PIECEを愛する。
〈 資格 〉
・主任ケアマネ
・社会福祉士
・介護福祉士

介護の仕事と資格について情報発信。

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派遣介護士とは?

派遣介護士とは、人材派遣会社に登録し、契約先の介護施設や事業所で勤務する介護士のことです。

  • 雇用契約は派遣会社と結ぶ
  • 勤務先は紹介された施設
  • 給与は派遣会社から支払われる

つまり、介護士本人と施設が直接雇用契約を結ぶのではなく、間に派遣会社が入る仕組みになっています。

派遣の働き方の流れ

  1. 派遣会社に登録(Web応募や面談)
  2. 希望条件を伝える(勤務日数・夜勤有無・通勤距離など)
  3. 派遣会社から施設を紹介される
  4. 契約期間(3か月〜6か月)ごとに勤務
  5. 契約更新 or 新しい派遣先へ

「雇用主=派遣会社、働く場所=派遣先施設」 という二重構造が、派遣という働き方の特徴です。

派遣で働くメリット

1. 条件に合わせて働ける

「夜勤なし」「週3日」「扶養内」「土日休み」など、自分のライフスタイルに合わせて選びやすいのが派遣の大きな魅力です。

私も子育てと両立したい時期に「平日のみ・日勤だけ」の派遣を選び、生活のリズムを崩さずに働けました。

2. 時給が高めで残業代もきっちり

派遣は時給制が多く、正社員より高めに設定されています。

例:時給1500円 × 8時間 × 20日勤務 = 月収24万円

特養で正社員をしていたときの月収20万円と比べると、派遣の方が即収入は高いことが多いです。

3. 人間関係に巻き込まれにくい

派遣は「外部スタッフ」という立場なので、職場の人間関係の濃い部分に巻き込まれにくいです。

以前、正社員のときは会議や係活動に必ず参加していましたが、派遣のときは「業務だけすればOK」と割り切れました。

4. 相談窓口がある

派遣会社の担当者がサポートしてくれるため、職場で困ったことがあっても直接施設に言いづらい場合は派遣会社に相談できます。

実際、私も「夜勤回数を減らしたい」と派遣会社に伝えたら、すぐに調整してくれました。

派遣で働くデメリット

1. 雇用が不安定

契約期間は3か月や6か月が多く、「次の更新はありません」と言われることもあります。

特に利用者の入所状況や施設の経営状況によって、急に契約が切られるケースも。

2. ボーナス・昇給がない

時給は高めでも、賞与や退職金はほぼありません。

年間を通して見ると「年収は正社員の方が高い」ということも珍しくないです。

3. キャリアアップの機会が少ない

研修や資格取得支援は、派遣社員には提供されないことが多いです。

正社員と比べると「昇進」や「役職」がないため、長期的なキャリア形成には弱い働き方です。

4. 「外部スタッフ」扱いされやすい

施設の会議やイベントに呼ばれない、責任のある業務は任せてもらえない、といった「一歩引いた立場」になることがあります。

私も派遣時代、職員旅行や研修に声をかけられなかった経験があります。

派遣と正社員の違い

ここで派遣と正社員を比較してみましょう。

項目派遣介護士正社員介護士
雇用契約派遣会社と契約施設と直接契約
給与形態時給制月給制
ボーナスなしあり
安定性契約更新制で不安定長期雇用で安定
キャリアアップ限定的昇進・昇給あり
人間関係浅めで希薄深く関わる
勤務条件自分の希望に合わせやすい施設に合わせる必要あり

自由度と引き換えに、安定性やキャリア形成を犠牲にする。これが派遣と正社員の大きな違いです。

派遣から正社員になる流れ

派遣で経験を積み、「この職場なら長く働きたい」と思ったら、正社員に転換することも可能です。

ステップ

  1. 派遣として現場で実績を積む
  2. 施設の正職員と同じように信頼を得る
  3. 施設から直接「正社員登用」の声がかかる
  4. 面接・書類選考を経て正社員へ

実際のケース

私の知人は、最初は「夜勤なしの派遣」で働き始めましたが、半年後に施設長から「正社員でどう?」と声をかけられました。

「働いてみて雰囲気を確認してから正社員になれる」のは派遣ならではのメリットです。

読者タイプ別アドバイス

未経験の方へ

いきなり正社員で飛び込むのは不安という方は、まず派遣で現場を経験してみるのがおすすめです。

研修やサポート付きの派遣会社を選べば安心感もあります。

子育て世代の方へ

シフトの自由度が高い派遣は、家庭優先で働きたい人に合っています。

「平日だけ」「夕方まで」など条件指定できるのは大きな利点です。

50代以上の方へ

体力に合わせて「週3日だけ」「日勤のみ」といった選び方ができるので、無理なく続けやすい働き方です。

ただし収入の安定性は弱いので、年金や家計とのバランスを考える必要があります。

まとめ

派遣介護士は、自由度が高くライフスタイルに合わせやすい反面、安定性やキャリア形成には弱い働き方です。

  • 短期的に稼ぎたい人
  • 人間関係の悩みを減らしたい人
  • まずは介護の現場を体験したい人

には向いていますが、

  • 長期的に働きたい人
  • 昇進や昇給を目指す人

は正社員を視野に入れた方が良いでしょう。

👉 まずは派遣からスタートして、安心して働ける施設を見つけたい方はこちらの記事も参考にしてください。